福井県の小浜は古くから京へ通じる港町として栄え、現在でも当時の面影を残した街並みや歴史のある神社仏閣を見ることができます。
小京都とも言われる小浜には、昔ながらの古民家や町家が建ち並んでおり、その町家を改装した宿泊施設が今密かに人気となっているのだとか。
今回は一棟貸しが魅力の「小浜町家ステイ」の三丁町さのや棟を利用して、町家暮らしを体験してきました。部屋の様子やアメニティ、小浜町家ステイを利用する際の流れや町家の魅力について徹底レポートしていきます!
小浜町家ステイとは?
まずは三丁町さのやを動画で紹介します!
若狭・小浜は昔から鯖街道の起点として京都と深いつながりがあったことから、京都文化の影響が色濃く残る古民家や町家が今でも残っています。そんな昔ながらの町家の雰囲気は残しつつ、内部をリノベーションし宿泊施設としたのが「小浜町家ステイ」です。
若狭・小浜地区には何棟か宿泊用の町家があり、それぞれリノベーションによって個性のある町家に生まれ変わっています。またすべての町家が一棟貸しのため、他の宿泊客に気を遣わずに誰でも町家暮らしを満喫することができます。
三丁町さのや宿泊レポート
ここからは小浜町家ステイを利用する際の流れと、三丁町さのや棟での宿泊レポートをお届けします!実際に泊まってみて分かった三丁町さのや棟の良い点と悪い点(ほぼ無いですが)について、紹介したいと思います。
道の駅 若狭おばまでチェックイン
チェックインは道の駅 若狭おばまで行います。売店のある建物の右隣にある観光案内センターにカウンターがあり、そこが「小浜町家ステイ」のチェックイン受付を兼ねています。
チェックイン時には下記のようなことを教えてくれます。
・町家利用時のルール
・町家への行き方
・駐車場の場所
・玄関の電子キー解除方法
・夕食と朝食の場所と時間
道の駅で町家ステイの説明を受け精算を済ませたら、各自で宿泊先の町家まで向かうというシステムです。道の駅から三丁町さのや棟までは車で約5分ほどの距離です。
駐車場はこちらの月極駐車場の一角を借りる形になります。月極駐車場の右奥に棟名の書かれたブロックが置いてあるので、そのスペースに車を停めることができます。(駐車場は各棟1台のみのようです。複数台になる場合は事前に小浜町家ステイに相談が必要です。)
駐車場への道については海沿いから入る道が若干狭かったため、大きめの車を利用する場合は要注意です。
チェックイン時に道の駅からどういうルートで駐車場まで行けば良いかも丁寧に教えてくれてマップもいただくことができましたので、事前に調べていなくてもスムーズに辿り着くことができました。
小浜の街並みと外観
今回宿泊した三丁町さのやは、赤い外観が特徴的な歴史のある町家です。先ほどの駐車場からは徒歩で1分ほど。キャリーケースや重い荷物を持っていてもそれほど苦にはならなさそうです。
玄関に「三丁町さのや」と書かれた暖簾がかかっているのですぐ見つけることができました。すでに部屋には明かりが灯っており、暖かな雰囲気を醸し出しています。
まずは外観を紹介します。
軒先には赤い「さるぼぼ」が飾ってあります。さるぼぼは飛騨高山が発祥とされる民芸品で、玄関に飾ると厄除けの効果があるとされているようです。三丁町のほとんどの町家や住宅にさるぼぼが飾ってあり、地域ぐるみで風情のある景観を作っているのが伝わってきます。
また三丁町には出格子のついた町家や古民家が多く、三丁町さのや棟も赤い出格子がおしゃれな造りになっています。
町家と石畳の道が京都の祇園に少し似ていないでしょうか?
昼の町家も素敵ですが町家が「映える」のは日が落ちてからの時間帯。暗くなって周囲の町家に明かりが灯りだしたら、外に出て町家を眺めたり写真を撮ったりするのがオススメです。
開放感のあるリビング
さっそく町家の中に入っていきましょう。
玄関には電子キーがついており、チェックイン時に教えてもらった4桁の暗証番号を入力して解錠します。玄関のスペースにはショーケースとちょっとしたカウンターがあります。昔は何の建物だったのでしょうか?特徴的な造りです。
三丁町さのや棟が昔どういう建物だったのかは分かりませんでしたが、「小浜町家ステイ」で利用できる町家の中には元料亭や和菓子屋の建物もあるようなので、町家の歴史を調べてから宿泊先を選んでも面白いかもしれません。
暖簾をくぐった先でまず目に入るのは赤を基調とした開放感のあるリビングです。
こちらのリビングにはテレビはないですが奥には中庭を望むことができる造りになっています。ふかふかのソファーでまずは旅の疲れを癒しましょう。リビングにはエアコンも付いていてチェックイン時にはすでに部屋が暖められており、おもてなしが行き届いている素敵な宿だと感じました。
レトロな階段箪笥
リビング横には現代では珍しい階段箪笥があります。この町家が現役だった頃から使われていたものなのでしょうか。かなり年季の入ったレトロな箪笥です。
私が宿泊先にこの三丁目さのや棟を選んだ理由の1つはこの階段箪笥であり、一見の価値はありそうです。2階へ行く際は実際にこの階段箪笥を登っていきます。
2階から階段箪笥を見下ろすとこんな感じ。
結構急で幅も狭くそして何より滑りやすいので、気を付けて上り下りしないといけません。大きなキャリーバッグや重い荷物は2階に持って上がるのは避けた方が良さそうです。
ガーデンビューのバスルーム
私が三丁町さのやを選んだポイント2つ目は、こちらのバスルームです。
洗面台と一体になった開放感のあるこちらのバスルームは、写真の左側が一面ガラス張りになっており中庭を眺めながら入浴することができます。少し恥ずかしい気分になりますが、ちゃんと周囲の建物からは見えないようになっていたので安心でした。
中庭は日本庭園のミニチュアのような造りで、冬には雪景色の庭を見ながら湯舟につかるという贅沢な時間を過ごすことができます。
和モダンなベッドルーム
続いて紹介するのは、階段箪笥を上がった先にある2階のベッドルームです。
ベッドは計4台で真ん中のリビングを挟んで2台ずつ配置されています。襖を閉めることで部屋を分けることもでき、各部屋にエアコン、テレビ、空気清浄機が備えられているのでとても過ごしやすかったです。
真ん中のリビングには座椅子2つとテーブルが用意されています。
町家の造り的にゆっくり過ごすのはこの2階のスペースになるのですが、3人以上で宿泊する場合座椅子が人数分ないというのが少し不便でした。ただスペースや空間デザイン的に座椅子は2つというのがベストにも思えるので、ここはベッドなどを使って補うことにしましょう。
ベッドルームにはところどころに間接照明が配置され落ち着いた雰囲気になっています。
各部屋には備え付けのテレビの他にも、姿見やハンガーラックも用意されています。一般的なホテルの設備は一通りそろっていると思って問題ありません。
天井は高めの造りで立派な梁が使われており、木を基調とした和モダンな造りになっています。天井にもエアコンが配置され、夏は涼しく冬は暖かい快適な町家ライフを送ることができます。
私が三丁町さのやに宿泊したのは2022年2月。北陸地方一帯に大雪警報が出ており雪の降る寒い日でしたが、エアコンをフル稼働させると室内は暑いくらいでした。町家は断熱性があまりないイメージがありましたが、三丁町さのやは断熱性十分で快適に過ごすことができました。
キッチン周りとアメニティを紹介
最後にキッチン周りとアメニティを紹介します。
小浜町家ステイには食事付きプランと素泊まりプランがあります。各町家にはキッチンがついているので、素泊まりプランにして皆で料理を作って食べるという楽しみ方もできてしまいます。三丁町さのや棟のキッチンには、IHの一口コンロとシンクが備え付けられていました。
道の駅から町家に向かう途中にもスーパーやコンビニが何軒かあったため、地元の食材を購入してホームパーティをするのも面白そうです。
キッチンの下のスペースには、オーブンレンジ、冷蔵冷凍庫、食器類一式、コップ、調理器具が準備されています。たいていの料理であれば作れそうですし、食器類を持参しなくていいのも嬉しいですね。
三丁町さのやの備品やアメニティについて紹介します。
◆バスルーム
シャンプー/コンディショナー/ボディソープ/バスタオル/ハンドタオル/浴衣/ドライヤー/メイク落とし兼洗顔料/化粧水/乳液/ハンドソープ/コップ/カミソリ/髪ゴム/シャワーキャップ
◆キッチン
冷蔵冷凍庫/オーブンレンジ/ケトル/湯沸かしポット/鍋/まな板/包丁など料理道具一式/コップ/皿/箸など一式/水切りラック
◆寝室
テレビ/姿見/ハンガーラック/空気清浄機/スリッパ/殺虫剤/ガムテープ
(殺虫剤とガムテープが備えられているということは夏は結構虫が出たりするのでしょうか?)
泊まって分かった三丁町さのやの魅力とは?
今回三丁町さのやに泊まってみて分かった、「小浜町家ステイ」の魅力についてまとめます。
一棟貸しなので他の宿泊客に気を使わずに町家暮らしを満喫できる
最大の魅力は町家一棟貸しなところ。ホテルに宿泊するのと同等の料金で町家一棟丸ごと借りることができます。一棟貸しなので他の宿泊客を気にせず町家暮らしを満喫でき小さなお子様がいる場合も安心です。
町家の雰囲気は残しつつ内装はおしゃれにリノベーションされている
基本的な町家の造りは残しつつモダンな印象にリノベーションされた室内がとても素敵です。階段箪笥など当時の調度品も活かされた造りで、当時の町家暮らしを想像しながら宿泊することができます。
中庭に面したガーデンビューなバスルームで露天気分を味わえる
中庭を見ながら湯舟に浸かり旅の疲れを癒しましょう。特に冬は雪の降る中庭はとても風情があり、貸し切りで露天風呂気分を味わうことができました。
キッチンがあるのでプチホームパーティを楽しめる
料理道具や食器類が揃っているので、食材を持ち込めば料理とホームパーティを楽しむことができます。小浜の漁港で地元の海産物を購入して鍋なんてのはいかがでしょうか?
最後に
いかがだったでしょうか?
今回私が宿泊した三丁町さのやは、清潔感のあるオシャレな造りで設備も充実していたのでかなり満足できました(1泊しかできなかったのがもったいないくらいでした。)
小浜は歴史のある街並みや小浜城などが有名な観光地でありながら、北陸方面と京都方面両方にアクセスが良く観光の拠点としても最適です。そんな小浜でしか体験できない「小浜町家ステイ」を利用してみてはいかがでしょうか!