徒歩で三尾めぐり!京都で混雑回避するなら初夏の高雄でハイキングを

国内旅行

コロナ禍の緊急事態宣言が明け、京都に旅行に行きたいけれど人混みが気になるという人も多いかと思います。

京都の奥座敷である高雄の三尾エリアは、京都の他のエリアと比べて人も少なく密を避けて観光することができます。密を避けながら歴史のある寺社巡りや新緑の中のハイキング、川床での食事など京都ならではの風流な体験をすることができる高雄はこれからの旅行先にもってこいです。

今回はそんな魅力たっぷりの高雄での三尾めぐりのレポートをお届けするとともに、ハイキングの所要時間や2022年最新の混雑状況について解説したいと思います!

三尾めぐりとは?

三尾の1つ高雄 神護寺

三尾とは、京都の北西に位置する高雄(たかお)、槇尾(まきのお)、栂尾(とがのお)の3エリアの総称です。
それぞれ高雄には神護寺、槇尾には西明寺、栂尾には高山寺といった有名なお寺が存在し、これら3つの寺をめぐることを「三尾めぐり」と呼び、京都の穴場スポットとしてひそかな人気となっています。

三尾は秋には京都の中でもいち早く紅葉を楽しめることでも有名です。春には桜、夏は青もみじ、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の自然を楽しむことができることも、三尾エリアの人気の要因となっています。

密回避に初夏の高雄がオススメな理由

初夏の三尾めぐりで楽しめる新緑のトンネル

密を回避しながらの観光に初夏の高雄がオススメな理由は3つほどあります。

京都の中でも高雄の三尾エリアは人が少な
三尾エリアは京都の中でもマイナーで観光客が少ないという特徴があります。観光客が少ないものの魅力は多く、歴史のある寺社を巡る「三尾めぐり」や川床での食事など京都ならではの体験をすることができます。

ハイキングには初夏もしくは秋が適温
密を回避するためには公共交通機関を利用するより徒歩で観光するのが理想です。高雄の三尾は徒歩で回ることができますが、快適にハイキングを楽しむには初夏もしくは秋の時期がベストです。

紅葉の時期よりも人が少ない
三尾エリアは京都の中でもいち早く紅葉を楽しめるエリアとして知られています。そのため紅葉の時期には観光客も増えるため、新緑を楽しめる初夏の時期が密を回避しながら観光するには最適といえます。

高雄 三尾エリアへのアクセス

京都市街から三尾への行き方は車かバスの2択になります。電車の駅は三尾の近くにはなく京都市街から距離があるため徒歩でアクセスするのも不可能です。

京都市街から高雄へ向かうバスは2種類存在します。

1、西日本JRバス
高雄、槇ノ尾、栂ノ尾の3駅に停車します。
京都駅前を出発した後は京都市街を回り高雄方面へと抜けていきます。

2、京都市バス
市バスも高雄、槇ノ尾、栂ノ尾の3駅に停車します。
しかし西日本JRバスより少し不便な点があり、京都駅前から出ている便は高雄が終点となります。その先は、高雄→槇ノ尾→栂ノ尾の区間を巡回するバスが別であるのでそちらに乗り換える必要があります。

「高雄」バス停で下車し、神護寺→西明寺→高山寺と回っていくのであればどちらのバスを利用しても問題ありません。北側の高山寺から回りたい場合は、西日本JRバスの利用をオススメします。

それぞれのバス停からお寺までの徒歩での所要時間はこちら。

神護寺「高雄」バス停から徒歩20分
西明寺「槇ノ尾」バス停から徒歩7分
高山寺「栂ノ尾」バス停から徒歩3分

三尾めぐりのルートと所要時間

徒歩で三尾めぐりをする際にはどのルートで回るべきか、また徒歩だとどれくらい所要時間が必要かについて紹介します。

徒歩でのルート

三尾のお寺は、手前(南)から神護寺→西明寺→高山寺と並んでいます。ですので、神護寺もしくは高山寺から回るといいでしょう。

私は前日高雄のもみぢ家 本館に宿泊していたため、もみぢ家をスタートとゴールの地としてすべてを徒歩で回りました。参拝の順番は北側から高山寺→西明寺→神護寺としました。
もみぢ家は「高雄」バス停の目の前ですので、「高雄」までバスで行けばこちらのルートを辿ることが可能です!

徒歩での所要時間

徒歩で三尾めぐりをする場合、どれくらいの所要時間が必要でしょうか。
今回徒歩で回ってみたところ、それぞれのお寺での参拝時間もすべて含めて最低3時間は必要と感じました。

移動時間がこちら。これにそれぞれのお寺で約30分ずつ参拝時間が加わる感じです。

もみぢ家(高雄バス停)→高山寺徒歩20分
高山寺→西明寺徒歩15分
西明寺→神護寺徒歩15分
神護寺→もみぢ家(高雄バス停)徒歩20分

結構かかると感じる方もいるかもしれませんが、こちらは景色を楽しみながらゆっくりと歩いた時間です。新緑のトンネルを歩いていくのは気持ちがよく疲労や暑さなどは気になりませんでした!

初夏の三尾めぐりレポート!混雑具合は?

ここからは初夏の三尾めぐりの様子と混雑具合について、2021年初夏に訪れた際の写真を使って紹介したいと思います!徒歩で高山寺→西明寺→神護寺とめぐっていきます。

栂尾「高山寺」

高山寺 山門

高山寺(こうさんじ)は三尾の中で最も北に位置するお寺で、その歴史は奈良時代に遡ります。
奈良時代に建立されたのち高山寺という名称になったのは鎌倉時代初め、明恵上人(みょうえしょうにん)が後鳥羽上皇よりこの地を授けれられ「日出先照高山之寺(ひいでてまずこうさんをてらすのてら)」の勅額を賜ったのが始まりのようです。

その勅額「日出先照高山之寺」は、境内にある石水院にて見ることができます。

明恵上人が後鳥羽上皇より授かった勅額

そしてこちらの石水院は、なんと明恵上人が生きていた鎌倉時代から残る唯一の建造物であり、国宝に指定されています。明恵上人が後鳥羽上皇より学問所として与えられた建物なのだそうです。

新緑の石水院 廂の間

石水院 廂の間(ひさしのま)には、小さな善財童子(ぜんざいどうじ)の像が安置されています。善財童子とは「華厳経」というお経の中に出てくる菩薩の名前で、明恵上人が敬愛していたのだとか。

廂の間からは、額縁に収まった絵を思わせるような庭園を見ることができます。初夏の新緑の庭園が、より鮮やかに感じられます。秋には真っ赤な紅葉を、冬には真っ白な雪景色を見れることでしょう。

高山寺に展示されている鳥獣戯画(レプリカ)

高山寺は数多くの宝物を所蔵していますが、その中でも世界的に有名なのがこちらの「鳥獣人物戯画絵巻」です。「鳥獣戯画」と呼ばれることが多いですね。

「鳥獣戯画」も石水院で見ることができます。甲乙丙丁の全4巻の中で最も有名なうさぎと猿やカエルがでてくる甲巻もおいてありました。

桃山時代に創建された金堂

境内はかなり広くじっくり見て回ると30分くらいかかりそうです。

これだけでもすごい歴史を持つ高山寺ですが、最後にもう1つだけすごい話しがありまして、高山寺は「茶の発祥の地」とされているそうです。

臨済宗開祖の栄西禅師が中国の宋から持ち帰った茶の種を明恵上人に贈ったところ、明恵上人がこの栂尾の地で茶の栽培を始めたのだとか。その後明恵上人が作った茶が宇治に伝わり、宇治を介して全国に広まっていきました。お茶といえば宇治というイメージがありましたが、発祥はこの栂尾 高山寺の地だったのです。

高山寺では写真を見て分かる通りほぼ他の観光客とすれ違うことなく、境内を見て回ることができました!

槇尾「西明寺」

西明寺 表門

続いては、15分ほど歩いて西明寺へと向かいます。

西明寺の入口へはこちらの指月橋が目印です。赤い橋と青もみじのコントラストが美しい景色です。人もいないため思う存分写真を撮ることができました。

西明寺へと向かう指月橋

西明寺は平安時代の天長年間(824~834)に、弘法大師の高弟智泉大徳が神護寺の別院として建立したのが始まり。その後鎌倉時代に本堂や宝塔などが建てられ、後宇多法皇より平等心王院との命名を賜り神護寺から独立した寺院となりました。

西明寺 表門の苔むした灯篭

西明寺は物静かな山奥に建っており、周りの自然と調和した山寺という印象を受けます。周囲には至る所に苔がむしており灯篭もこの写真の通り。

新緑の西明寺 本堂

こちらが本堂。鎌倉時代に建てられた本堂は戦火によって消失してしまっており、現在の本堂は江戸中期に桂昌院の寄進により再建されたものとなります。本堂内には本尊の釈迦如来像をはじめ、多くの仏像が安置されています。

西明寺も秋には見事な紅葉が見られるようで、コロナ禍が明けたら秋にも来てみたいものです。

高雄「神護寺」

神護寺参道へは高雄観光ホテル横から

最後は高雄の神護寺に向かいます。西明寺からは徒歩で15分ほど。

高雄観光ホテルの脇から神護寺の参道が始まります。ここからは楼門まで階段が続きます。少し登った所からは手すりも階段脇に完備されており、お年寄りの方も問題なく登っていっていました。

神護寺は他の2寺と比べて人が多い印象ですが、それでも密が気になるほどではありません。

弘法大師が墨をすったとされる硯石

参道の途中で硯石(すずりいし)というものを発見。

なぜ硯石というのかと思い調べてみたところ、かつて神護寺で弘法大師が修行していた時、嵯峨天皇が「金剛定寺」の勅額を弘法大師に書いてほしいと勅使を送ってきたのだそう。しかし先日から続いていた雨で清滝川が増水し勅使が川を渡れなくなってしまいました。そこで弘法大師はこの岩で墨をすり、対岸の額めがけて墨を飛ばしたところ、額に「金剛定寺」の文字が浮かび上がったのだそうです。

石はごつごつしていて、ちょっとした窪みで墨がすれそうでしたが、どこの窪みですったのでしょうか?

遠くに神護寺 楼門を望む

硯石を通り過ぎて5分ほど歩くと、ようやく楼門(この時は改修工事中)が遠くに見えてきました。三尾のお寺の中で最も階段がきつかったのがこの神護寺ですが、新緑の中のハイキングもいいものです。

神護寺の創建は平安京の時代にまで遡ります。平安京造営の責任者でもあった和気清麻呂公は、当時から紅葉の名所として知られていたこの高雄の地に高雄山寺を建立しました。その後同じく和気清麻呂公が河内に建てた神願寺と合併して、天長元年に神護寺が誕生しました。

金堂へ向かう急な階段

神護寺の境内もかなり広いです。神護寺に到着して完全に油断していましたが、金堂の前に現れたのがこちらの階段。もうひと頑張りです。

国宝を安置する神護寺 金堂

こちらが金堂。現在の金堂が建立されたのは昭和と比較的新しいですが、内部には国宝の薬師如来立像や、重要文化財の日光・月光菩薩立像、十二神将立像、四天王立像など数多くの仏像が安置されています。

境内ではかわらけ投げを体験できる

金堂を右手に進むと、開けた場所に出ました。こちらでは「かわらけ投げ」を体験することができます。

「かわらけ」とは、土器の盃(さかずき)のことで、厄除けの願いを込めてかわらけを高い場所から投げる遊びのことを「かわらけ投げ」といいます。戦国武将が出陣する際に盃を地面に投げつけて必勝を祈願したことが起源であり、江戸時代には庶民の間でかわらけ投げが流行ったそうです。

かわらけ投げの発祥はなんとここ神護寺とのことですから、神護寺にきたらぜひかわらけ投げを体験してみましょう!

売店で購入できる”かわらけ”

3枚100円でかわらけを購入。広場にある売店で販売されていました。厄除と彫られた素朴な土器の盃です。

ここから山に向かって”かわらけ”を投げる

かわらけはここから投げます。「かわらけ投げ」の文字が消えかけた看板が目印です!
投げ方は各自思い思いの投げ方でOK!私はより遠くに飛ばせるようフリスビーを投げる要領で投げてみました。

清滝川に厄と”かわらけ”を一緒に投げましょう!

少し下を覗いてみます。なんという絶景でしょう。下に見えるのは清滝川でしょうか?
この渓谷にかわらけと一緒に厄を投げてしまいましょう!

高雄で新緑のハイキングを楽しもう

かわらけ投げで厄を落としたら、再び参道を通ってもみぢ家(高雄バス停)まで戻ります。
朝9時にもみぢ家を出発し、約3時間の三尾めぐりの旅もこれにて終了です。

写真を見てお分かりかと思いますが、観光客も滅多におらず感染を心配することなく伸び伸びと観光をすることができました!

最後に

いかがだったでしょうか?

もみぢ家(高雄バス停)を出発して約3時間、密を気にすることなく徒歩で三尾めぐりを完了することができました!

外出する機会の減っている昨今ですが、三尾で新緑の参道を自分のペースでハイキングし心地の良い時間を過ごすことができました。高山寺、西明寺、神護寺それぞれのお寺では、それぞれ国宝や重要文化財の仏像や建築を人混み気にすることなく堪能できたと感じます。

あまり知られていない高雄の三尾めぐり、皆さまも都会の喧騒から離れて密を気にせずにゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

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